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ぼくたちに線路なんていらない


▷乗車する?

▶ハイ / イイエ


ガタンゴトン…ガタンゴトン…


『それでは発車いたします。手すりにおつかまりになって...』


車内アナウンスが響く

車内にいるのは僕一人だ

SL?のような豪華車両っていうのかな


と思ったら、のっそのっそと

紺色の制服に身を包んだ車掌さんが歩いてくる。

僕の半分くらいの背丈しかない。


『遠坂しゅう...さん』


アナウンスとおんなじしゃがれた声が僕の名前を呼ぶ。


おじいさんなのかな、僕のおじいちゃんに似ている気もするけど…?

もやがかかったように目がかすんでよく見えないや。


『切符を拝ケーン...』


切符?そんなの持ってきてないぞ?


『切符ヲハイ券...』


まずい…な。持ってないなんて言えない雰囲気だ。


『切プをは逝ケ』


その時、夢かと見紛う可愛い女の子が

「はい、これ切符。この人の分と私の分ね!」

と、どこからか現れて二枚の切符を車掌さんに差し出した。


ふう、助かった…。


車掌さんは

ただ一言

『れい...』

とだけ言って去っていった。


礼?

それとも、霊???


それより、この僕を救ってくれた可愛いかわいい天使ちゃんだよ!


「ねえ、ぼくの天使ちゃん?自己紹介しようか」


「…。」

彼女はツーンとすましてこちらを見てもいない。


それどころか、

しゃがみ始めて

「ぼくのデゴイチ…。どこぉ?」

と泣きそうな声を出してる。


…かわいい!

デゴイチが何かわからないけど、

一緒に探してあげよう…!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

導入終わり



















































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